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アレッシア・オッタスの アンヴィル案内書 美しきディベラ、愛の女神! 私たちと子供たちを祝福してください! 私の名はアレッシア・オッタス。皆様に、アンヴィルの全てをお伝えしましょう。 アンヴィルは海辺にあり、一見するととても美しく見えます。しかし、細部に目を向ければ不愉快なものが多く目につくでしょう。水辺の景色は魅力的なものですが、町の外の船着場や港の周辺では船乗りや物乞いなど、汚い身なりの人々がうろついています。アンヴィル城は清潔でよく管理されているし、城壁に囲まれた家々のうち、いくつかはきれいで立派です。しかし、それ以外の家は住む人も無く荒れ果て、あるいはみずぼらしく剥がれ落ちた壁土がそのままにされています。町中では異常者や酔っぱらいの姿がいたるところに見られます。 アンヴィル城 アンヴィルの領主は、ミローナ・アンブラノクス伯爵夫人です。彼女の夫、コルヴァス・アンブラノクスは何年も前に失踪しましたが、軽薄で不真面目な人物で、馬鹿騒ぎをしては醜聞を振りまく癖があったため、伯爵夫人は彼がいなくなってかえって平穏な生活を送れるようになったといわれています。伯爵夫人自身は、高潔で敬虔な素晴らしい領主であると人々から慕われています。もしも彼女が衛兵に命じて船乗りや物乞い、怠け者、泥棒たちをみな町の外に追い出したなら、アンヴィルは今よりずっと住みやすくなるでしょう。 アンヴィルの地区 アンヴィルは5つの地区に分かれています。アンヴィル城は街壁の外の港を見下ろす場所に建っており、チャペルゲート地区の門から道が城へと続いています。壁に囲まれた街は3つの地区、東のチャペルゲート地区、西のウェストゲート地区、そしてその間に位置するギルドゲート地区に分かれています。港は街壁の外にあり、ウェストゲート地区の門から行くことができます。 チャペルゲート地区 シロディール中を探しても、ここより美しい聖堂にはお目にかかれないでしょう。聖堂と街壁の間には美しいディベラ像のある静かな庭園があり、瞑想にもってこいです。聖堂の向かいには素敵な庭園と、礼拝する人々を風雨から守ってくれる屋根つきの回廊があります。残念なことに、住民たちはこのような素晴らしい聖堂にほとんど興味を示さず、礼拝する住民もごくまれです。頭の軽い女司教のせいなのか、伯爵夫人が自ら礼拝に来て模範を示そうとしないからなのか、どちらの理由かはわかりません。 ギルドゲート地区 アンヴィルの最も栄えている地区はギルドゲート、正門、もしくは北門を入ったところにあります。この地区には、アンヴィルで最も立派な建物と最もみすぼらしい建物が隣り合って建っています。ギルドはよく管理されたきれいな建物のほうに属します。この地の魔術師ギルドと戦士ギルドはシロディール各地のギルドの中でも特に野心的で生産的です。魔術師ギルドの代表者であるキャラヒルは魔術の研究者として名声を得ており、交霊術、召喚術、黒魔術を公に批判しています。戦士ギルドは人材に恵まれて精力的に活動しており、シロディールにある他のギルドに見られるような無責任でやる気の無い態度とは無縁です。それに対して、魔術師ギルドのすぐ隣の建物は閉鎖された廃屋で、見苦しく荒れ果てていて本当に目障りです。 ウェストゲート地区 ウェストゲート地区は、アンヴィルの住宅街です。この地区にある家はみすぼらしく、荒れるにまかせてあります。住民はだらしがなく無気力ですが、唯一の例外はアンヴィルの有名人、アルゴニアンの女流作家クイルウィーブでしょう。彼女は下層階級の人間や犯罪者の悲惨な運命や陰謀の計画を描いた低俗な本を何冊か出しています。彼女の存在は、アルゴニアンが罪深く不誠実で、役立たずの人間未満の存在だという偏見を助長しているといえます。 港 船着場は補修がされておらず、荒れ果てて不潔です。船倉や今にも崩れそうな港湾倉庫からはあらゆる種類の悪臭が立ち上っています。役立たずたちがどこからか集まってきては、ここで日向ぼっこをしたり、噂話や無駄話をしたり、ワインやエールを買うために物乞いをしようか、盗みを働こうかと考えたりするのです。そこではミラベル・モネーという優しい女性が家のない船乗りのために宿を提供していますが、残念ながらその間違った慈善は単に酔っぱらいと怠け者を甘やかすことにしかなっていません。そんな無益なことをしている暇があるならば、彼女はあの不道徳な怠け者たちに九大神の教えと生産的な仕事を教えるべきでしょう。港はそんなありさまですが、南に行くと素敵な灯台があり、その上に上って遠く眺めれば、アンヴィルの城、町、そして港もそれほど不愉快には見えないでしょう。 九大神があなたを守り導いてくださいますように! 地理・旅行 茶3 アレッシア・オッタスの コロール案内書 ステンダールを称え、九大神を称え、全ての聖人を称えよ! 私の名はアレッシア・オッタス。皆様に、コロールの全てについてお伝えしましょう。 コロール城 コロールはコロール州の州都であり、女伯爵アリアナ・ヴァルガによって統治されています。彼女は非常に正しい女性で、彼女の娘は美しく貞節な、レヤウィン伯爵夫人のアレッシア・カロです。 アリアナは敬虔なアカトシュの信奉者で、ステンダール聖堂での礼拝を欠かさず、領民の良き模範となっています。彼女の夫、故チャラス・ヴェルガ伯爵もまた信望厚い信仰のディフェンダーでステンダール信者だったので、彼がスカイリムの異教のノルド人との戦いで命を落としたという知らせは領民に大きな悲しみをもたらしました。アレッシア・カロはレヤウィン伯爵の良き妻であり、コロール伯爵の子女としての本分を尽くしています。彼女はよくコロールに戻り、素晴らしい母親のもとを訪ねています。 素晴らしいことに、城に仕える魔術師もまた(他の多くの魔術師が神の教えと信仰を軽んじているのと違って)公正で敬虔な九大神の信徒です。彼女、シャネルは、不信心ものを罰しようとする正しい人々のために魔術を教授しているので、へたな魔術師ギルドのいかがわしい魔術師たちに教わるぐらいなら彼女のところへ行くべきでしょう。 女伯爵は毎日大広間で会議を開いています。(もちろん、日曜日以外ですが)彼女には素晴らしい使者や執事がおり、城は品格と秩序が保たれています。また、城には地下牢があるのですが、残念ながら衛兵たちは怠慢で、町中にたむろする物乞いや泥棒、博徒、詐欺師を捕まえてせっかくの牢屋に放り込もうともしません。 コロールの地域 コロールは5つの区域に分かれています。門を入ったところはファウンテン・ゲート地区で、美しい泉があり、大戦で犠牲になった人々に捧げられた聖サンクレ・トールの像が立っています。泉の周りには2件の宿屋、雑貨店、鍛冶屋があります。そこから東への道は城へ、北への道はグレート・オーク広場へ、西への道は聖堂通りと西コロールへ、それぞれ通じています。西の聖堂へ行く道の途中には本屋があり、聖堂より西は西コロール地区で、井戸の周りに簡素な小屋が集まっています。グレート・オーク広場の周りには魔術師ギルドと戦士ギルド、そしてたくさんの立派な家があります。 スタンデール聖堂 スタンデール聖堂は美しい建物で、巡礼の祈りと瞑想に申し分のない場所です。毎週日曜日の朝には、この町の正しい人々とよき領主が礼拝のために聖堂に集まります。しかし嘆かわしいことに、女伯爵という素晴らしい模範がありながら、コロールの住民の多くは怠惰で信仰を軽んじています。きっと、魔術師ギルドと戦士ギルドの構成員が悪い手本になっているせいでしょう。聖堂の女司祭、オラグ・グラ=バーゴルは親切で正しい老婦人で、魔術師ギルドの邪悪な異教徒から呪文を買うくらいなら彼女から買ったほうがずっと良いでしょう。 コロールのギルド 戦士ギルドを率いているのは優秀で誉れ高いヴィレナ・ドントンですが、その構成員は粗野で汚い言葉で話し、たいてい支部で怠けているか、町中をうろつきながら耳障りな雑談をしているかのどちらかです。彼らがスタンデール聖堂での礼拝の習慣を身に付けて行いを正せば、戦士ギルドはずっと良くなるでしょうに。ただし、戦士ギルドの優秀な鍛冶屋は特別です。彼女はよく聖堂で礼拝をしています。 コロールの魔術師ギルドにいる学者は役立たずばかりで、生徒たちは本を読んだり罵りあったり、悪臭のする薬を調合して時間を潰しています。彼らは教養があって正しい言葉づかいができますが、懺悔と祈りによって魂を磨くこともしないくせに、そんな学問がいったい何になるというのでしょう? ここの魔術師ギルドで呪文や薬を買うことはできますが、そこで払うお金は彼らにくだらない娯楽や怠惰な時間を提供するだけでしょう。 商店とサービス ノーザン・グッズ商店のシード・ニーアスはアルゴニアンですが、他のアルゴニアンと違って賢く、誠実で、丁寧な応対ができます。素晴らしいことではないですか? 彼女は商才があり、その成功の技術を教授していますが、店の品物を安く売ってくれることはないでしょう。 火炎と鋼鉄鍛冶店の鍛冶師、レッドガードのラシーダは優秀な職人であり、その技術を教授しているようです。彼女は日曜の礼拝に毎回来ていますが、人間的に未熟で礼節に欠け、行儀や身なりも良くはありません。 レノア書店はきれいな店構えで品揃えも豊富ですが、信じられないことに『九大神の十戒』を一冊も置いていませんでした。しかも、女店主は一度もスタンデール聖堂へ来たことがありません。いったいどういうことでしょうか? この町に、食べ物と寝床を提供してくれる宿は2軒だけあります。一軒は上品で清潔で、立派な人々になじみにされている宿です。もう一軒は粗野で不潔で、酔っぱらい、泥棒、オークの溜まり場になっています。一方は身なりの良い上品で礼儀正しい婦人が、もう一方はだらしのない若い女性が経営しています。宿の名前はそれぞれ「オーク・アンド・クロージャー亭」と「グレイ・メア亭」です。清潔で安全な寝床を提供してくれるのはどちらの宿か、もうおわかりですね。 コロールの著名人 作家キャスタ・スクリボニアはコロールに住んでいます。彼女は教養があり、各地を旅した経験を持ちますが、彼女の著作はあまりおすすめできません。なぜなら、彼女の作品はどれもロマンスとゴシップと、他の低俗な娯楽を題材にしていて、主人公たちは九大神を信仰する者なら誰もが持っているはずの美徳、道徳、貞節、神への崇敬を見せず、読者の子供たちの悪い手本となりかねないからです。 コロールの不名誉な特徴 魔術師ギルドや戦士ギルドの近くのグレート・オークにはよく町民が無為に集っては雑談をしています。ホンディターという名の狡猾な男が、周辺の土地で起こること全てを知っています。彼はお金と引き換えにスキルを教えていますが、この男を聖堂で見かけることはなく、どうも罰当たりな行動や深酒、喧嘩に耽溺しているようです。 コロールは殺人や泥棒の多い町です。彼らはなんと家で犯罪の技術を教えて授業料を稼ぐことさえあります。衛兵はいったい何をしているのかって? 残念ながら、彼らを町中で見かけることはありません。 コロールの物乞いは身なりは汚いですが、健康で態度が良く、陽気です。いい気分になるために小銭を恵んでやってもよいでしょうがそのお金はすぐに賭け事や強い酒などのくだらないことに使われてしまうので、彼らのためにはならないでしょう。 九大神の祝福とご加護がありますように! 地理・旅行 茶2 アレッシア・オッタスの シェイディンハル案内書 健やかな心身にアーケイの祝福を! 私の名はアレッシア・オッタス。皆様にシェイディンハルの全てについてお伝えしましょう。 シェイディンハルを訪れる人はまず、緑の大草原やコーボロ川の土手に経つ優雅な柳の木、よく手入れされた庭園、花でいっぱいの垣根、そういったものに目を奪われることでしょう。手入れの行き届いた家々、その石壁にほどこされた細工や、ガラス、金属、木材を組み合わせた美しい装飾は、シェイディンハルという町の裕福さを物語っているかのようです。 しかし、その裏に何が隠されていると思いますか? 犯罪、醜聞、それに数々の不道徳です! シェイディンハルは、3つの区域に分かれています。北の丘の上にはシェイディンハル城の中庭と城壁があります。その下に、東門から西門へ、東西に道が走っています。コーボロ川はこの道からだいたい南北に流れており、町の南半分を2つの区域に分けています。聖堂は東側の区域、そして市場は西側の区域にあります。市場側の区域には全ての商店、宿屋、ギルドが集まっています。聖堂区域には聖堂と住宅街があります。コーボロ川には北と南の2箇所に橋がかかっていて、南側の橋の途中には小さな公園になっている中州があります。 シェイディンハルは東ニベンに位置していますが、その文化は、ここ半世紀の間にモロウウィンドから移民して来た、ダークエルフたちによって作られたものです。彼ら移民の多くは、モロウウィンドの窮屈な社会と腐敗した宗教支配を逃れて来た人々です。シロディールにおいては、ゼニタールの守護の下、かの地よりも自由で活発な経済活動の機会を見出すことができたのです。 シェイディンハルの伯爵もまた、そうした移民の一人です。アンデル・インダリス伯爵はモロウウィンドのフラール家の出身ですが、より多くの成功の機会を求めてこの地にやってきました。 伯爵はシロディールの貴族社会において異例の速さで上位に登りつめましたが、その理由については謎が多く、シロディールの伝統ある名家の人々は伯爵を身のほど知らずな成り上がり者と陰口を叩いています。さらに、ラザーサ・インダリス夫人がシェイディンハル城の階段で何者かに撲殺され遺体で発見された事件は人々の好奇の目を惹きつけ、伯爵の浪費癖、不倫、激情と事件の関係について黒い噂が絶えません。 シェイディンハルのアーケイ聖堂に訪れる人はほとんどいません。そもそも、模範を示すべき伯爵が一度も聖堂に足を踏み入れたことがないのです。ただし、彼の場合は九大神のもとに現れて審判を受けることを恐れているのかもしれませんが! シェイディンハルの大主教、司祭、治癒師は感じのよい人々で、神に忠実な神学者ですが、この地の聖職者で最も尊敬されているのはアーケイの生ける聖人・エランディルでしょう。彼は魔術師ギルドや帝都戦技大学で不正に行われている黒魔術に反対する運動を精力的に行っています。 シェイディンハルの2つの宿屋はどちらも一見良さそうに見えますが、一方の宿屋「ニューランド」を経営しているダークエルフは下品な異教徒の無法者で、もう一方の宿屋「シェイディンハル・ブリッジ」の経営者は高潔で敬虔な帝都民の夫人です。行き届いたサービスと安くておいしい食事、殺人鬼や泥棒の心配をせずに安心して眠れる安全で清潔な寝室、そういったものを求めるならどちらの宿屋に泊まるべきかはもうおわかりですね。 シェイディンハルの本屋を所有し経営しているのはアルゴニアンのマッハ=ナーです。私は彼より無礼で不愉快な人物にお目にかかったことがありません。しかし、本屋の品揃えは素晴らしく値段も手ごろです。 シェイディンハルの住宅は、最も貧しいものの家でさえみな清潔で見栄えがよく、庭なども手入れが行き届いています。家の中に入って家具や内装を眺めたいなら、住民に言えば喜んで迎え入れてくれるでしょう。(もちろん、早朝や夜中に訪ねたりしなければ、です!)ただし、だまされてはいけません! いくらその住民がどこから見ても立派な人物に見えたとしても、彼らの多くはあなたを招きいれたとたん豹変し、下品で粗野な態度で獣のように襲いかかってきます。彼らと人間らしい会話を交わすよりも、殺されて地下室に投げ込まれる可能性のほうがずっと高いのです。そのような粗暴で卑しい人々の多くがオークだというのは別に驚くべきことではありません。 それでも、シェイディンハルで一番の著名人、画家のライス・ライサンダスの家だけは訪ねる価値があります。彼自身はアトリエにこもって制作に没頭していることが多く、面会は難しいのですが、かわりに優しく親切な夫人があなたを招き入れ、壁にかかった彼の絵を見せてくれるでしょう。 九大神に従い、栄光へと向かいましょう! 地理・旅行 茶3 アレッシア・オッタスの スキングラード案内書 ジュリアノス、全ての正義と知恵はあなたと共に! 私の名はアレッシア・オッタス。スキングラードの全てについて皆様にお教えしましょう。 スキングラードはワイン、トマト、チーズの名産地として名高く、またシロディールでも最も清潔で、最も安全で、最も栄えている町の一つでもあります。ウェストウィルド高地の中心部に位置するスキングラードは、古き良きコロヴィアの至宝であり、コロヴィアの美徳である独立、勤勉、強い意志を象徴する存在です。 スキングラードは、城、ハイタウン、聖堂の3つの区域に分かれています。そして、ハイタウンを囲む壁に沿って、橋の下を街道が東西に貫いています。ハイタウンの西にはギルドや宿屋「ウェストウィルド」があり、北の道沿いには多くの商店や高級住宅街が並んでいます。町の南半分はというと、東の端に聖堂が、そして中央の通り沿いにスキングラードのもう一つの宿屋「トゥー・シスターズ」があり、庶民の住宅が周囲に点在しています。いくつかの門や橋が、街道を越えてハイタウンと聖堂を繋いでいます。スキングラード城は南西の高い丘に、町から完全に独立して建っています。町から城へ行くには、町の東の門からのびる道が城へ通じています。 スキングラード伯爵のジャナス・ハシルドアは長年スキングラードを治め、魔術師としての名声も高い人物です。彼は人との交わりを非常に嫌っており、全ての面談を断っています。また、彼は不信心にも九大神への礼拝を怠っています。領主が模範を示さなければ、領民はいったいどうやって徳を身に付けるというのでしょう? しかし、それでもなお彼は人々から尊敬され、スキングラードは順調で平和な領国の模範となっています。実際に、この町では犯罪、ギャンブル、路上の酔っ払いなどは全くと言って良いほど見られないし、スキングラードのワインやチーズはタムリエル全土で高値で取り引きされています。 スキングラードには宿屋が2軒あります。そのうち、宿屋「トゥー・シスターズ」はオークが経営しています。この宿屋は清潔で良く管理されており、すばらしいことに騒動や酔っ払いとは無縁です。もう一方の宿屋は感じの良い帝都民の女性が切り盛りしています。両方の宿屋の経営者ともにジュリアノス聖堂に礼拝に現れないので、食べ物や休息を求めている巡礼の皆様にどちらの宿屋をお勧めするべきかはわかりません。 しかし、おいしいロールパンをお探しならば、聖堂区域にあるパン職人サルモの店は間違いなくおすすめできます―― この店のパンは最高です! スキングラードの他の名産品―― トマトとチーズ―― については、各人の好みによって判断が異なるでしょう。また、これを読んでいる皆様はスキングラード名産のワインには興味がないでしょう、酒は人の心を乱し、心の乱れは罪につながるのですから。 この地の魔術師ギルドは他の土地のそれと変わりませんが、戦士ギルドはゴブリン狩りを専門としており、ウェストウィルドを旅する人々に質の高いサービスを提供しています。それにしても町の鍛冶屋が自身を指して“悩める者アグネッテ”と呼んではばからないことには驚かされます。いったいなぜそのような恥知らずなことができるのでしょうか? 九大神をいつも胸に! 地理・旅行 茶3 アレッシア・オッタスの 帝都案内書 アカトシュを称えよ! 帝都と全ての民に祝福を! 私の名前はアレッシア・オッタス。皆様に、帝都の全てについてお伝えしましょう。 帝都について 帝都におられるお方といえば? そうです、タムリエル皇帝ユリエル・セプティム、信仰のディフェンダーにして、聖タイバー・セプティム、主タロスの血統であり、神聖なる国家と法の主、九大神とともにあるもの。私たちはみな、皇帝の善良さと神聖さを知っています。彼はよく、最高神の神殿で九大神と聖人たちに祈りを捧げています。 では、皇帝が住んでおられるのは? 帝都の中心部にある王宮の白金の塔です。白金の塔は遠い昔、邪神デイドラを信仰するアイレイドたちによって建てられました。邪教の古代文明が積み上げた石の塔が、今では帝都の正義と信仰を象徴する記念碑として神に捧げられているのですから、本当に素晴らしいことです。帝都の王宮を訪れる人々は聖人や伯爵、魔闘士、歴代皇帝が眠る墓地を散策し、町のどこからでも見える白金の塔を畏敬の念を込めて見上げるのです。 王宮にある長老会の会議室は、一般の立ち入りは禁止されています。また、帝都衛兵の古式ゆかしい武具に驚嘆するかもしれませんが、彼らは粗野で非礼なのであまり近づかないほうが良いでしょう。 帝都の地区 帝都は10の地区に分かれています。中心地にあるのが王宮で、残りの9地区がその周りを囲んでいます。王宮の北西の地区がエルフガーデンで、住みやすい住宅街です。 そこから反時計回りに、次の地区はタロス広場地区です。ここは王宮の西にある高級住宅地です。南西にあるのが神殿地区です。神殿地区の壁の向こう側、街の外には悪臭漂う不潔な波止場地区があります。王宮の南東は庭園地区で、そこの壁の向こう側には評判の悪い魔術師ギルドのアルケイン大学が建っています。東にあるのは悪名高い闘技場地区です。そして最後に、王宮の北東はなんでも手に入る商業地区です。商業地区の壁の外側には獄舎地区があります。 神殿地区 私が住んでいるのは帝都の神殿地区ですが、ほんとうに美しいところです。最高神の神殿に礼拝に来られることがあれば、ぜひうちを訪ねてください。夫と娘もご紹介します。ここはとても素晴らしい地域で、住んでいるのは感じのよい上品な人たちばかりです。ただ、帝都の他の地域と同じく、物乞いがうろうろしているのが玉にきずです。 庭園地区 この美しい庭園では、あの有名な九大神の像を見ることができます。中央の像が主タロス、皇帝タイバー・セプティムです。しかし、この九大神の中心という名誉な位置に、最高神アカトシュを差し置いてタロスが彫られているというのはいかがなものでしょうか。実際のところ、この恥ずべき間違いの元凶は、タロスの子孫である皇帝を必要以上に賛美しようとした長老会です。 商業地区 帝都商業会議所の前には、商人による詐欺の被害を訴えにくる人々の行列が絶えません。ここは不潔な地区で、商店が捨てた木箱がそこら中に積み重なり、気味の悪い茸や菌類がびっしりと生えて、敷石はぬるぬるした汚れですっかり覆われています。ここへは自分で買い物に行くよりも、使用人を使いに出せるならそうしたほうが良いでしょう。 アルケイン大学 ここはひどく汚く、荒れた、スラムのような場所です。屋外には一人の生徒も魔術師も見当たりません。彼らは暗い地下室に座って異端の書物に没頭しているか、巻物に難解な悪文を書き付けるのに忙しいのです。 アークメイジの塔の中には、帝都の太陽系儀が置かれています。魔術師たちはそれを使って天文学の研究をするのです。なんと愚かな! そんな馬鹿げた高価な機械を覗き込んでいる暇があれば、どうして神の御業に目を向け、教えの通り九大神を崇めないのでしょう? 魔術師たちは貴重な本を集めた巨大な図書館を持っていますが、意地悪くも一般の利用者は締め出しています。しかし、これは特に非難すべきことではないし、惜しくもありません。なぜなら、彼らの集めるような本は確実に不道徳でとるに足らない内容でしょうから。 帝都波止場地区 この場所は本当に最低です。この場所を歩いていて、殺された女子供の死体につまづくことはそう珍しくありません。タムリエルで最もたちの悪い人種は商人と船乗りですが、ここにはそういったごろつきが集まってきては市民の稼いだお金を騙し取る算段をするのです。賭博、人身売買、スクゥーマ、その他のもっと恐ろしい罪が港湾倉庫や船倉で行われています。彼らを取り締まるべき衛兵は何をしているかですって? どこにも見あたりません。 帝都獄舎地区 この牢獄は陰惨で身の毛のよだつような場所で、じめじめした不潔な建物の中のいたるところに、鎖、やっとこ、手枷、足枷、その他あらゆる拷問道具が置かれています。でも、肝心の囚人はどこでしょう? いません! 衛兵があんなにも怠けているせいで、牢獄はいつもからっぽなのです! 帝都のいたるところに衛兵の姿が見られます。彼らも町中に居る盗賊や強盗がこわいので、常に数人で一緒に行動しています。どうして彼らが、鬱陶しい物乞いどもをまとめて牢屋に入れてしまわないのか不思議でなりません。犯罪者は大胆で、白昼、町中で犯罪に出くわすことも珍しくありません。ある恥知らずのならず者などは、彼の武具が帝都獄舎から盗んだものであるとおおっぴらに自慢しているほどです。いったい、どれほど看守が怠けていればそんなことが可能なのでしょう! 犯罪者を牢に閉じこめておくべきはずの看守の上司が賄賂を受け取っているため、看守たちは恥知らずにも職務を怠っているのです。 闘技場 この場所については説明する必要がないでしょう。皆様が足を運ぶような場所ではありません。怠惰で愚かな人々だけがここへ来て勝ち負けに金を賭けたり、時には自分で血を流して戦ったりするのです。そんな無益な戦ができるなら、どうして町中にたむろする強盗や物乞いを駆逐することにその力を使わないのでしょう。 九大神の祝福とご加護がありますように! 地理・旅行 茶2 アレッシア・オッタスの ブラヴィル案内書 恵みあふれる母なるマーラ、我らを病からお守りください! 私の名はアレッシア・オッタス。ブラヴィルの全てについて皆様にお伝えしましょう。 ブラヴィルは例えるなら、下水口のふたにぞっとするほど汚らしいごみがたくさん溜まっているような光景を思い起こさせる町です。この町はシロディール中で最も貧しく、最も汚く、最も古ぼけて、最もみすぼらしく、最も多くの犯罪者、酔っぱらい、スクゥーマ中毒者が住みつき、最も多くの住人が獣じみた下等人種もしくは外国人です。あとはここにデイドラを崇拝する邪神教の集会でも加われば、間違いなく極悪非道、品性下劣な最悪の町と言えるでしょう。しかし、おぞましいことに、ブラヴィルでは実際にそれよりも邪悪で堕落した邪神崇拝が秘密裏に行われているという噂です。 この町は陰気で殺伐としており、常に重苦しい空気が漂っています。また、気候はじめじめとしており、大気は汚れています。というのも、町の下水が流れ込むラーシウス川の淀みからは悪臭が立ち上り、ニベン湾の低地には同じく悪臭を放つ沼地が広がっていて、疫病と害虫の温床になっているのです。 町の建築物の見苦しさと乱雑さは度を超しています。住宅、商店、ギルドの建物の柱はひび割れ、裂け、腐って軟らかく、緑のカビで覆われています。いっそのこと崩れ去ってしまえばその後に新しくましな家を建てることもできるでしょうが、彼らは今ある家の上にまた汚らしい家を建て、そのおかげで家々は三階、四階とまるでこやしの山のように見苦しくその高さを増してゆくのです。物乞いや泥棒は通りの頭上に張り出したバルコニーで無為に時間を潰し、ごみやガラクタを不運な通行人の頭の上に投げ捨てるのです。建物の屋根の上にぐらぐら揺れながら建っている信じられないほど不潔な小屋に、一家全員が暮らしていたりします。 ブラヴィルの住民は不愉快で不誠実です。彼らの生活は洞窟に住むゴブリンより少しましな程度で、今にも崩れそうな不潔な小屋に勝手に住みついています。町の住民は2つの階級に分けることができるでしょう。一方は密輸業者、スクゥーマ中毒者、強盗、泥棒、殺人者たちで、もう一方はこうした犯罪者がカモにする物乞いや愚鈍な役立たずたちです。 ブラヴィルの支配者は犯罪者のリーダーたちです。町の衛兵は、スクゥーマ密売人の親玉に雇われています。エルスウェーアとブラック・マーシュにほど近いこの町に多くのアルゴニアンとかカジートが住んでいるのは不思議なことではありませんが、オークの多さには驚かされます。しかし、これらの下等な人種たちは他の下等な人種と問題なく共存しています―― ちょうど泥棒や獣がお仲間を見つけては群れ集うのと同じように。 ブラヴィルの町は区画整理などされていませんが、不運にもこの町を歩くことになった人々のためにいくつかの目印をご紹介しましょう。城へは、崩れそうな橋で川を渡って東へ。聖堂は西です。商店やギルドは東側の壁と川を背にして並んでいます。聖堂と商店・ギルドの間の地域はブラヴィルのスラム街です。 城は、ブラヴィルで唯一の石造りの建物です。この城は庶民の住む掘っ立て小屋と同じぐらい汚く建てつけも悪いですが、それでもアンヴィルや帝都で一番貧しい物乞いの家と比べれば少しはましかもしれません。レギュラス・タレンティウス伯爵は家柄も良く、かつてはトーナメントでチャンピオンになり名声を得たこともありますが、領民に言わせれば今では単なる役立たずの酔っぱらいです。伯爵の息子のゲリアス・タレンティウスは典型的な親の七光りで、犯罪者とスクゥーマ中毒者が好き勝手に振る舞える社会の維持に大いに貢献しています。 聖堂の建物の石でできた部分は、崩れるがままでカビに覆われています。木材を組み合わせただけのぼろぼろの柵で囲まれた墓地は乱雑に荒れ果てています。女司教はマーラの敬虔な信奉者ですが、九大神見捨てられたこの町の犯罪と不正は彼女の手には負えないでしょう。女司祭は聖堂を訪れる数少ない人々に好かれていますが、この町の大多数の住民は生涯一度も聖堂に足を踏み入れることはないのです―― 盗みや物乞いに入る場合を除いては。 また、この町の宿屋の評判も最悪です。宿屋に入るには、まず玄関に寝そべった酔っぱらいと彼らが吐いたものを乗り越えなければならないでしょう。宿の中では、暗がりのごろつきや博徒やスリが、不注意な旅行者をあっという間にカモにしてしまいます。そのような宿に泊まろうとする物好きな旅行者は、眠っている間に殺されたとしても文句は言えません。 それに比べれば、ギルドはまだ清潔で酔っ払いも見当たらず、比較的平穏が保たれている場所といえます。もし必要に迫られてブラヴィルで夜を越すことになった時は、戦士ギルドか魔術師ギルドに泊まるのが最善でしょう。ギルドにいる人々も野蛮で不道徳ですが、少なくとも安全に眠れる場所だからです。 商店もブラヴィルの他の部分と比べれば、まだましと言えるでしょう。商店は泥棒対策のために厳重に見張られており、店内では暴行や殺人の心配はありません。 もしあなたが何かの不運でブラヴィルを訪れることになってしまったとしたら、町に入ってすぐにそこから出たくなることでしょう。そのときは気をつけてください、町を出るあなたの後ろから追いはぎと殺し屋の群れが追ってこないように。 九大神を称え祈りましょう! 地理・旅行 茶3 アレッシア・オッタスの ブルーマ案内書 父なるタロスよ、我らをお守りください! 私の名はアレッシア・オッタス。皆様に、ブルーマの全てをお教えしましょう。 ブルーマはニベンの町だと思われがちですが、スカイリムとの境界に近いことと、ジェラール山脈高地の寒く厳しい気候のため、実際はニベンよりもノルドの特色が強い町です。ブルーマは常に寒く、雪に覆われており、市民を凍死から守るために町のいたるところに火鉢が置かれ、絶えず火が焚かれています。ジェラール山脈の森林では木材が豊富に採れるため、ブルーマのあらゆる建物は木で造られており、どんな金持ちもみな暗く薄汚れた木造の小屋のような住居で暮らしています。このような気候の中で暮らすノルド人が、あのように飲んだくれで異教徒の野蛮人になるのも不思議はありません。なぜなら、厳しい気候の中では人間にできることは限られており、寒さをごまかすために前後不覚になるまで酒を飲もうとするものもいれば、身を切るような寒さや容赦ない風からひと時逃れるためだけに罪を犯すものもいるのです。 ブルーマ城もまた隙間だらけで寒く、装飾はぞんざいで、火鉢の煤のために薄汚れています。場内は煙と灰のにおいが充満しています。高い天井は立派ではありますが、そのせいで火が焚かれても城内は一向に暖まりません。石造りの部分も煤と汚れで完全に覆われているので、そこに施された見事な彫刻も今では全く見ることができません。その石造りの部分と全体の大きさをのぞけば、ブルーマ城は庶民の住む貧相な木の小屋と何一つ変わりません。 女伯爵ナリナ・カーヴェインはハートランドのニベン人で、熱心に礼拝に通い、領民にも敬われていますが、交渉の場においては狡猾で無情な一面を見せ、抜け目のないやり口と裏切り行為で評判の人物です。ブルーマの施政は効率的で秩序が守られています。頑固なノルド人の隊長が率いる衛兵たちはよく訓練されており精力的で、そのため泥棒や強盗の心配はありませんが、ノルド人の特徴である酔っぱらいと暴動ばかりはどうしようもありません。 町から城に行くには、町の西にある城門が城の中庭に通じています。商店、宿屋、ギルドは町の北と西の城門の前にある高台の上や、その下の聖堂の北側に集まっています。ブルーマの町の南半分は聖堂を中心として、住宅が町の東と南の内壁に沿って並んでいます。通りは狭く、並木などは植えられていません。この寒さの中では草木を植えても枯れてしまうのです。しかし、建物が小さい町に密集しているため、散策に時間はとられないでしょう。 ブルーマのニベン人たちは聖堂での日曜礼拝を敬虔に行っていますが、下層民は罪深くもノルドの異教の神を信仰し、彼ら独自の迷信や非文明的な儀式をあらためようとしません。 ノルド人の鍛冶屋は名匠が多いので、ブルーマで品質の良い武器や防具を買うことができるのは当然ですが、一方でノルド人は無学で読書をしないため、この町で本を手に入れるのは難しいでしょう。この町の戦士ギルドおよび魔術師ギルドはお粗末で人材も不足しています。誰しも、こんな寒く薄暗い町のギルドに派遣されたいとは思わないのでしょう。ただし、少なくとも魔術師ギルドはきちんと管理され、暖かく保たれています。(それにしても、いったいどのような恐ろしい魔術でその暖かさを生み出し、保っているのでしょう? 想像したくもありません) 皆様に九大神の祝福とご加護がありますように! 地理・旅行 茶2 アレッシア・オッタスの レヤウィン案内書 全ての労働にゼニタールの祝福を! 私の名はアレッシア・オッタス。レヤウィンの全てを皆様にお教えしましょう。 エルスウェーアとブラック・マーシュという野蛮な発展途上の地方に挟まれた土地に位置していること、またトパル湾から帝都へのニブン川の水上交通を守るという重要な役割をもつことから、レヤウィンは石垣と守備隊に囲まれた強固な要塞都市です。 ブラックウッドの沼だらけの自然の中にあるにもかかわらず、レヤウィンは明るく陽気なよく栄えた町です。道路は広くきれいだし、住み心地の良さそうな広い家々は木骨作りやしっくい塗りで、多くの家の壁はまるで今塗られたばかりのような美しい色で彩られています。町のいたるところに木々や花が植えられ、静かな広場や池の周りは瞑想をするのにもってこいの場所です。住民のアルゴニアンとカジートの低俗で大衆的な性質を無視すれば、レヤウィンは巡礼者にとって感じの良い安全な町だと言えるでしょう。 レヤウィン伯爵はマリアス・カロといい、彼が最近花嫁に迎えた美しく賢いアレッシアは、あの信望厚いコロールの女伯爵アリアナ・ヴァルガの娘です。伯爵夫妻は帝政化を熱心に推進しており、ニベン人によるハートランドの帝都文明である、伝統的な勤勉さ、礼拝の習慣、遵法精神などを辺境の未開人たちに広めるために尽力しています。 町はニベン川西岸に建てられた高い幕壁に囲まれています。町の東端にある2つの門の中にはさらに城壁があり、その中にはレヤウィン城が川の深い部分をまたぐように建っています。ゼニタール聖堂は町の北西、西の門にほど近い場所にあります。商店、宿屋、ギルドは全て聖堂の南側、町の西半分に密集していますが、そこ以外にも良い本屋と貿易商の店が一軒ずつ、西の門からのびて町を東西に横切る道の北側にあります。住宅街は町を南北に走る大通り沿いにあり、住宅街の東にはニベン川の曲がりくねった部分を囲い込んで作られた深い池が2つあります。 ステンダール聖堂と伯爵夫妻は、ニベン文化の恩恵を辺境の地に住む原住民に広めるために協力し合っています。グリーン・ロードおよび最近開通したトランス・ニベン周辺での盗賊による被害があるにもかかわらず、守護神ゼニタールの祝福のおかげでレヤウィンの産業・貿易は栄えています。 レヤウィンの自慢のタネは、シロディール随一(もちろん、帝都州は別にして)の商店や商人の質の高さです。さらに、職人や戦士ギルド・魔法ギルドの講師にいたるまでが、優れた能力を持っているのです。中でも、サザン書店には注目です―― この本屋を経営しているのはなんとオーク(!!!)で、『こどもの神学』の在庫を切らしません。この本は、神の教えを本当の意味で理解していない人々にも易しく読めるのでおすすめできます。 最近、戦士ギルドのライバル組織とも言える傭兵会社「ブラックウッド団」がこの地に新しい本部を建て活動を始めました。ブラックウッド団の構成員のほとんどはアルゴニアンとカジートですが、役員たちは礼儀正しく、丁寧で上品な言葉遣いで話すことができるようです。彼らは私に、ブラックウッド団は値段とサービスの品質で積極的に戦士ギルドと競争すると話してくれました。(これは帝国民として正しい行いであり、ゼニタールもきっとお喜びになるでしょう―― 新進の事業は産業の繁栄にとって有益です) 残念なことに、レヤウィンに住む全てのアルゴニアンとカジートが、ブラックウッド団の構成員のように勤勉で模範的な人々ばかりなわけではありません。町中ではどんな時間でもアルゴニアンのトカゲどもやカジートのネコどもが道端にたむろし、無駄話をしています。彼らがほんの少しの時間でも自分自身と家をきれいにすることに費やしてくれたならよいのに。 九大神を称え、罪に背を向けましょう! 地理・旅行 茶3
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ウルフハース王 五つの歌 ショールの舌 ウルフハース王の最初の歌は太古のもので、およそ第一紀の500年頃に書かれたものとされている。グレヌンブリアの沼地にてアレッシア派の軍勢が打ち破られ、その戦いでホアグ・マーキラー王が倒されると、アトモラのウルフハースが族長会議によって選ばれた。彼のスゥームが非常に強かったため、口頭で宣誓をするわけにいかず、誓いの儀は書記を介して実施されたとされている。書記たちは戴冠直後にウルフハース王による最初の布令、すなわち伝統的なノルドの神々の業火による復権である。旧態の信仰は違法とされ、僧侶たちは火あぶりに処せられ、その聖堂には火が放たれた。以後、ボルガス王の影響が一時的に弱まることになった。その狂信ぶりにより、ウルフハース王はショールの舌、北方の竜イスミールなどの異名で知られるようになった。 カインの息子 ウルフハース王の二番目の歌は、彼の偉業が古き神々にとっていかに好ましきものであったかを讃えたものであり、ウルフハースが東方のオークたちと戦い、その族長を声の力で地獄送りにした様子や、竜によって傷つけられたハイ・フロスガルの418番目の段を再建した話が盛り込まれている。彼が配下の軍勢が風を引かないように雷雲を飲み込んだことにより、ノルドたちはウルフハースをカインの息の異名で呼ぶようになったとされている。 戸を叩く老人 ウルフハース王の三番目の歌は彼の死に様を歌ったものである。敵側の神であるオルケイは以前からノルドたちを破滅に導こうと画策しており、アトモラでも彼らの年齢を奪ったりしていた。ウルフハース王の強大さを目の当たりにしたオルケイは、再び時喰らいしアルドゥインの亡霊を呼び寄せる。これによりノルドたちのほとんどは年齢を喰われ、六歳児の姿となってしまう。少年となったウルフハースは今は亡き神々の族長であるショールに、ノルドたちを救うように嘆願する。ショール自身の亡霊がこれに応じ、時の始まりでそうしたように霊魂の次元にてアルドゥインと対決して勝利し、オルケイの臣下であるオークたちを破滅に追い込む。天での戦いを見ていた少年ウルフハースは新たなスゥーム、「巨竜をかように揺らせばどうなるか」を体得する。彼はこの新たな力を使ってノルドたちを正常な姿に戻すが、一人でも多く救おうと焦る中で自らの年齢を戻し過ぎてしまい、グレイビアードたちよりも高齢となり、死んでしまうのであった。ウルフハースの火葬の際の炎はカインの炉にすら達したとされている。 灰の王 ウルフハース王の四番目の歌は彼の復活を歌ったものである。東方の王国のドワーフと悪魔たちが再び戦いを始め、ノルドたちはそれをきっかけにかつての領地を奪い返せないかと目論み始める。侵攻が計画されたものの、率いてくれる強大な王がいないために見送られてしまう。そこへダゴスの悪魔が登場し、敵意は無いと言い張り、ノルドたちに素晴らしき話を聞かせる。神々の族長ショールの心臓の在り処を知っているというのだ。ショールは遥か昔にエルフの巨人たちに殺され、その心臓はノルドたちに恐怖をうえつけるために旗の一部として使われたのだった。この策は当初功を奏していたが、イスグラモルが皆を正気に戻すと、ノルドたちは反撃に転じたという。自分たちがいずれ敗北することを悟ったエルフの巨人たちは、ノルドたちのもとにその守護神が戻ってしまわないよう、ショールの心臓を隠してしまったのであった。ダゴスの悪魔がもたらしたのはそれほどの朗報だったのである。彼によればショールの心臓は東方の王国のドワーフと悪魔たちが手にしており、最近の動乱はそれが原因になっているとのことだった。ノルドたちがダゴスの悪魔にかように仲間を裏切る理由を問うと、悪魔は同族の者たちは時の始まり以来お互いを裏切り続けてきており、これもその一環だと答え、ノルドたちもそれを信じた。「舌」たちがその歌でショールの亡霊をこの世に再び呼び寄せると、ショールは昔同様に軍勢を集め、撒かれて久しいウルフハース王の遺灰を集めて再生させた。これはショールが有能な武将を配下に欲したからであるが、ダゴスの悪魔もその武将の役をくれと懇願し、聖戦の担い手としての自らの役割を強調した。これによりショールは灰の王とダゴスの悪魔の両方を武将として傘下にかかえ、スカイリムの息子たち全員を引き連れて当方の王国へと進軍したのである。 赤き山 ウルフハース王の五番目の歌は実に悲劇的なものである。災厄の生き残りたちは赤い空のもとに帰ってきて、その年は太陽の死と呼ばれることになった。ノルドたちはダゴスの悪魔に騙されたのであった。ショールの心臓は東方の王国では見つからず、そこにあった事実すらなかったのである。ショールの軍勢が赤き山に辿り着くやいなや、悪魔とドワーフたちが大挙して襲いかかってきたのである。敵の妖術師たちが山を持ち上げてショールの上に落とし、ショールは時の終わりまで赤き山の下敷きになってしまう。スカイリムの息子たちは惨殺されてしまうが、その前にウルフハース王がドワーフオークのドゥマラキャス王を倒し、その一族の破滅を不可避として一矢報いた。その後、悪魔のヴェクが灰の王を地獄へと送り、戦いは終焉を迎えた。しばらくの後、カインがイスミールを地獄から救い、その遺灰を天へと持ち上げ、息子たちに裏切りによって流された血の色を見せたのである。そしてノルドたちはあれ以来、二度と悪魔を信用することはなくなったという。 *** 灰の王ウルフハースの秘密の歌 赤き山の真実 ダゴス・ウルが約束した通り、ショールの心臓はレスデインにあった。ショールの軍勢は内海の最も西方にある沿岸に近づき、その向こうにドワーフの軍が集結する赤き山を見た。斥候からの報告によると、ダークエルフの軍はナルシスを出発したばかりで、ノルドたちと戦うドワーフ軍に加勢するにはしばらくかかるだろうとのことであった。ダゴス・ウルの話では裁官たちが王の信頼を裏切り、ダゴス・ウルをロルカーン(レスデインでのショールの呼び名)のもとへと送り、荒ぶる神がドワーフたちの不遜に鉄槌を下すことを期待したそうだ。ネレヴァルとドワーフたちの和平こそが、ヴェロシの法の破滅に繋がるのだと。ダゴス・ウルいわく、それこそがダークエルフの集結が遅い理由なのだと。 増強される軍勢 そしてロルカーン(レスデインでのショールの呼び名)は言った、我がドワーフ共に復讐の鉄槌を下すのは、裁官たちが思うような理由のためではない。とはいえ、奴らが奴らに味方する輩共々、我が手で死ぬことに変わりはない。ネレヴァルとやらは、最も強大なパドメイの一人であるボエシアの息子である。彼は裁官たちが何と言おうと同族にとって英雄であり、十分な数の兵を集めて激しく抵抗してくるであろう。我々にも増援が必要だ。すると、裁官たちと同じくらいドワーフ共を死なせたいと欲していたダゴス・ウルがコゴランへと赴き、ダゴス家のチャプティル、ニクスハウンド、魔術師、弓兵、そして奪取した黄銅人たちを呼び集めた。そして灰の王ウルフハース、白髪のイスミールは、そのノルドの血を抑えてオークたちと和平し、多くの戦士を得たものの魔術師はまるでいなかった。赤き山を目前にしてもなお、ノルドたちの多くは宿敵と手を組む気にはなれず、戦意を捨てる寸前にあった。そこでウルフハースは言った。自分のいる場所がわからんのか? ショール様が誰なのか知らんのか? この戦争の意味がわからんのか? すると兵たちは王から神から悪魔たちからオークたちへと見渡して、その何人かは理解し、それも心底理解し、その何人かこそがその場にとどまったのである。 破滅の太鼓 ネレヴァルは月の影の音から作られた、キーニングなるダガーを身につけていた。彼のそばには神のものとおぼしき大槌を携えたドワーフの王デュマクと、アズラの息子であり、亡霊の鎧を着込んだ不死身のアランドロ・スルがいた。彼らは赤き山の最後の戦いでロルカーンと対決した。ロルカーンは心臓を取り戻していたが、長い間離れていたため、時間を必要としていた。ウルフハースはスルと戦ったものの、スルに打撃を与えることができず、重傷を負って倒れたが、その前に叫びによってスルを失明させた。ダゴス・ウルはデュマクと戦い、これを倒したが、その前にサンダーが主君の心臓に命中していた。ネレヴァルはロルカーンに背を向け、怒りに任せてダゴス・ウルを打ち倒したが、逆にロルカーンから致命傷を受けてしまった。だがネレヴァルはこの早すぎる死を偽装し、ロルカーンの脇腹に不意打ちを喰らわせた。調律の力をもつサンダーの一撃によりロルカーンの心臓は固化しており、ネレヴァルはキーニングでこれを切り出すことができた。心臓を切り出すとロルカーンは倒され、万事が終焉を迎えたように思われたのであった。 歴史・伝記 紫1
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曝されし手掌の道 未熟な拳闘家は、太鼓をたたくように拳をやたら振りまわして敵をぶちのめすものだ。甚だ無様な勝利である。曝されし手掌の道とは、それよりもはるかに洗練されていて、危険極まりないものだ。 ひとつ問いを与えよう。ある男の胸を一枚の大皿で引っぱたいた。小さなあざができるが、怪我らしい怪我はそれだけだ。そこで大皿を割ってその破片を手にとり、同じだけの力でもって男の胸を突き刺した。今度ばかりは男も死ぬか重傷を負うだろうが、なぜなのか? どうして大きな皿より小さな破片のほうがひどい傷を負わせられるのか? この質問の要点がそのまま、曝されし手掌の道の最初の指となる。手掌の指は五つある。集中、反応、均衡、速力、呼吸の指だ。素手による戦闘をきわめるには、これらの五つの指をすべて究めなければならない。 男と大皿の話は、「集中」の指の比喩である。すべての殴打は一点に集中させることで威力を増す。拳全体で打ち抜くよりも、親指だけで攻撃したほうが致命傷を負わせられるが、厳しい訓練を積んだ戦士にしかできない芸当だ。 「集中」はまた、自分がなすべきことだけを考えるための精神的鍛錬も意味する。究極的な目標をいつも見すえていれば、意志が雑念に揺らぐことはない。真なる戦士は、痛みすら遮断することができる。 兵法・戦術 茶2
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バレンジア女王伝 第1巻 スターン・ガンボーグ帝都書記官 著 第二紀の後期、バレンジアはモーンホールド王国(現在の帝都州モーンホールド)の王女として生まれた。バレンジアは5歳まで、ダークエルフの王女にふさわしい贅沢と保護の下で育った。その頃、タムリエルの初代皇帝、タイバー・セプティム1世閣下はモロウウィンドの堕落した王たちに対し、彼の帝都支配下に加わるよう要請したのだった。自らの魔力を過信したダークエルフたちはその要請を拒み続けたため、ついにタイバー・セプティムの軍は国境まで迫ってきたのであった。結果としてダークエルフは停戦に合意したが、そこに至るまでにはいくつかの戦があった。その一つは、モーンホールド王国のがれきの山と化していた、現在のアルマレクシアにて繰り広げられた。 幼い王女バレンジアと乳母は、戦のがれきの中で発見された。ダークエルフでもあった帝都将軍シムマチャスは、その幼き子を生かしておけば後に役立つかもしれないと皇帝に進言した。こうして、バレンジアは元帝都軍兵に預けられることになった。 元帝都軍兵であるその人物、スヴェン・アドヴェンセンは、引退した際に伯爵の位を授かっていた。彼の領地、ダークムーアはスカイリム中心部にある小さな町だった。セヴン伯爵とその妻は、自らの子供のように王女を養育し、なによりも帝都の一員としての美徳、すなわち遵法、分別、忠誠、信仰などを教えこんだ。その結果、彼女はすぐにモロウウィンドの新しい支配者の一人としてふさわしい資質を身に付けた。 バレンジアは美しく、気品と知性にあふれた少女に育った。彼女は優しく、また養父母の誇りでもあり、養父母の5人の息子たちもみな彼女を姉として慕った。彼女には、見た目以外にも他の少女にはない特質を持っていた。森や野原と心を通わせ、ときどき家を抜け出しては自然の中を歩き回るくせがあったのだ。 16歳までバレンジアは、とても幸せな毎日を送っていた。そんなある日、仲良くしていた厩番の孤児の不良少年から、セヴン伯爵と客のレッドガードとの間で行われた話を聞かされたのであった。どうやら妾として彼女をリハドへ売り飛ばすことを企んでいるらしいことを。ノルドやブレトンは肌が黒い彼女と結婚したがるはずもなく、ダークエルフでさえも異人種に育てられた彼女を嫌がるに違いないという考えを伯爵は持っているというのである。 「どうすればいいのかしら?」と、バレンジアはふるえながら涙声で言った。まっすぐに育った彼女は、友達である厩番の少年が嘘をついているなんて思いもしなかったのである。 そのストロウという名の不良少年は、彼女の護衛を買って出て、貞節を守るべく一緒に逃げることを勧めてきた。悲しげにバレンジアはその計画を受け入れた。 そしてその夜、目立たぬよう男装をしたバレンジアとストロウは、ホワイトランの町へ逃げたのだった。 ホワイトランに着いてから数日後、彼らはある隊商を護衛するという仕事に就いた。このいかがわしい隊商は帝都の街道を通ると通行税がかかるため、脇道を通って東へ向かおうとしていたのである。そして、隊商とともに彼らは追っ手に見つかることなくリフトンの町へ辿り着き、しばらくその地に身を置くことにしたのだった。彼らはダークエルフが珍しくないこのモロウウィンドとの境界に近い町に、束の間の安らぎを感じたのであった。 歴史・伝記 茶4
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晩餐での遊戯 姓名不明のスパイによる 出版社による序文: この手紙の出版にいたる経緯は、手紙の内容と同様に謎が多く、興味深い、数ヶ月前、ダウネインという謎の人物に宛てられたこの手紙の複製が、ヴァーデンフェルのアッシュランドで流出し、広まるようになった。やがて、一部の複製がアルマレクシア郊外のフラール・ヘルセス王子の宮殿にまで届いた。読者は、王子がこの手紙を読んで彼自身に対する悪意に満ちた中傷に激怒したと思われるに違いない。しかし、実際の王子の反応はまったく逆であった。王子とその母親であるバレンジア女王は、装丁もされたこの手紙の複製を個人的に作らせ、それを各図書館や出版社に送付したのである。 記録すべき事項として、王子と女王はこの手紙が完全な創作であるか、実際に起こった出来事を描写したものであるかという点については公式に言明していない。ドレス家はこの手紙が創作であるとして非難を表明しており、またダウネインという名の人物とドレス家の間に、この手紙から読み取れるような関係が持たれたことはこれまでにないとしている。この手紙の解釈については、読者の信ずるところにお任せしたい。 ──出版者:ネリス・ガン **** 闇の君主ダウネイン様 あなた様は、昨夜の出来事と私のドレス家への申し立てについての詳細な報告を次なる指令としてお与えになりました。ヘルセス王子の宮廷内からの情報提供者としてこれまでの私の仕事が、ご期待に添えていればよいのですが。これまでの報告の中で何度もお伝えしたとおり、ヘルセス王子という人物は、モラグ・バルですら裸足で逃げ出すであろうほどの恥知らずです。ご存知のように、私は1年近く前から親密な助言係の一人として王子の周辺に入り込んでいます。彼がモロウウィンドに来たばかりの頃、彼は友情に飢えており、私と他の数人の助言者を積極的に周囲に置きたがったのです。今でも、彼は私たちに衰えることのない信頼をおいています。モロウウィンドにおける王子の政治的存在感の希薄さゆえのことだと思います。 邪悪なあなた様のご参考までに、もう一度基本的な事実を書いておきますと、王子は、元モロウウィンド女王であり、ウェイレストのハイ・ロック王国女王だったこともあるバレンジアの長男です。バレンジアの夫であり、ヘルセス王子の義父であった国王エドウィーアの死後、エドウィーアの娘エリサナ姫とヘルセス王子との間に権力争いがあったようです。洩れ聞こえてくる噂だけではこの争いの詳しい成り行きはわかりませんが、最終的にエリサナが勝ってウェイレスト女王になり、ヘルセスとバレンジアを追放したことは確かです。バレンジアのもう一人の子、モルジアは、すでに結婚してサマーセット島のファーストホールド王国の女王となりウェイレスト王室から離れていました。 バレンジアとヘルセスが大陸を横断してモロウウィンドに帰ってきたのは、つい昨年のことでした。バレンジアの叔父でバレンジアが40年以上前に退位した後王位を継いだ現国王のフラール・アシン・リーザンは、手厚く彼らを迎えました。バレンジアは、王位を取り戻そうという気などなく、ただ彼女らの家族の屋敷で隠居生活を送りたいだけなのだということを明言しました。ヘルセスのほうは、ご存知のように、王宮での役職にしがみつき、多くの者はウェイレストの王位を失った彼がリーザンの死後モロウウィンドの王位を狙っているのだと噂しています。 私は今まで、邪悪なあなた様に、王子の行動や出会った人物、企て、助言係の者たちの名前や性格などを報告してきました。何度かお伝えしたとおり、私はヘルセスの周辺に私以外にもスパイがいるのではないかと思っています。以前、あるダークエルフの相談役が裁きの神殿の大司教ゾラー・サリョーニと行動を共にしていた人物と似ていることをお伝えしたと思います。また、別のノルドの若い女性などは、バルモラにある帝都の要塞を訪れていたことがわかっています。もちろん、彼らの場合、ヘルセスの側が各所に送り込んでいるスパイという可能性もありますが、実際のところはわかりません。王子がウェイレストの王宮にいた頃から侍従を務めているブレトンのバージェスの忠誠までもが疑わしく思えてくるにいたっては、自分が王子自身と同じように妄想狂なのではないかという気にもなってきます。 以上が、昨夜の、あの出来事の背景となる事実です。 昨日の朝、王子との晩餐会へ誘う簡潔な招待状が私のもとに届きました。被害妄想から、私はドレス家に忠実で有能な部下を王宮に送り込み、なにか変わったことがないか調べてくるように言いました。晩餐の少し前、彼が戻ってきて、王宮で見たことを報告しました。 ぼろぼろの服を身にまとった男が城に入ることを許され、しばらくの間城内にとどまっていたというのです。その男が帰ってゆくときに、部下はマントの下の顔を垣間見たのですが── それは悪名高い錬金術師で、異国の毒薬の密売を一手に担っているといわれている人物だったのです。部下は観察力に優れており、男が城に入るときに、ウィックウィートやビターグリーン、その他の嗅ぎ慣れない甘い匂いを漂わせていることに気付いていました。そして、男が城を出るときには、それらの匂いは消えていたというのです。 部下の出した結論は、私と同じでした。王子が、毒薬を調合するための材料を彼から調達したのです。ビターグリーンだけでも、生で口にすれば死を招きます。そこに他の材料を加えるというのは、何かもっと巧妙な企みがあることを匂わせていました。邪悪なあなた様なら難なくご想像がつくことと思いますが、私はあらゆる事態に対する心構えをしてその夜の晩餐に挑みました。 晩餐会には、ヘルセス王子の相談役の全員が出席しており、その全員が微妙に何かに対して身構えているように感じられました。もちろん、私は最初、ここにいる全員がスパイであり、王子と謎の錬金術師との密会を知っているのだと考えました。しかし、こうとも考えられました。つまり、何人かは錬金術師の来訪を知っており、他の何人かは晩餐会の目的そのものが何なのかと不安に思っており、そして残りの者は、ただ情報を持っている他の相談役たちの張り詰めた空気につられて緊張しているだけかもしれなかったのです。 しかし、王子自身は上機嫌で、その場の全員の緊張をすぐにほぐし、くつろいだ雰囲気を作りました。我々は9時に食堂へ案内され、そこにはすでに料理の支度がされていました。その料理の豪華なことといったら! ゴラップルの蜂蜜漬けにはじまり、香草のシチューや何種類もの肉汁のソースで味付けされたロースト、あらゆる複雑な方法で調理され豪華に盛り付けられた魚や鶏。水晶や黄金のびんに入ったワイン、フリン、シャイン、マッツェなどがそれぞれの席に並べられ、料理にあわせて楽しめるようにされていました。料理や酒の香りは非常に素晴らしいものでしたが、そのような香辛料や他の香りが複雑に絡み合う中で、毒薬の目立たない匂いを嗅ぎ分けるのは不可能だと考えずにいられませんでした。 晩餐の間中、私は幻惑を使い、料理を食べていると見せかけながら実際には何一つ口にしませんでした。やがて、最後にテーブルの上から空の皿や残った料理が下げられ、大きな蓋付きの器いっぱいの香草をきかせたスープが運ばれて来ました。給仕の者はそれをテーブルの中心に置くと、食堂を出て扉を後ろ手に閉めました。 「素晴らしい香りですわ、王子」と、ノルドの女侯爵、コルガーが言いました。「でも、もう食べられそうにありません」 「殿下」私は、親しみを込めた口調を装いながら、なだめすかすような調子も多少込めて言いました。「ここにいる者はみな、あなたをモロウウィンドの王にするためならば喜んで死ぬでしょう。でも、このままではその前に、ごちそうの食べすぎで死んでしまいますよ?」 他の者たちも、不安そうなうめき声とともに同意しました。ヘルセス王子は笑みを浮かべました。闇の支配者様、贈り主ヴェルニーマに誓って申し上げますが、いくらあなた様といえどもあのような笑みは今までに見たことがないでしょう。 「皮肉な言葉だな。いいか、この中の何人かは確実に知っていることと思うが、ある錬金術師が今日、私のところへ来たのだ。そして彼は素晴らしい毒薬と、その解毒剤の作り方を教えてくれた。私の目的にぴったりの、強力な毒薬だ。いったん飲み込んでしまえば、もうどんな回復の呪文でも治らない。確実な死から逃れるには、このスープに入った解毒薬を飲むしかない。そして、もし私が聞いたとおりならば、その毒による死に様は素晴らしいぞ。あの錬金術師のいったとおりの効果が出るのを、早く見たくて仕方がないのだ。毒におかされた者にとっては恐ろしく苦痛を伴うが、その様子は見ものだそうだからな」 全員が黙りこみました。私は、心臓が激しく打つのを感じました。 「殿下」と、アララトが口を開きました。私が裁きの神殿からのスパイではないかと疑っていたダークエルフです。「ここにいる誰かに、その毒を盛ったのですか?」 「お前は本当に抜け目がないな、アララト」ヘルセス王子は言い、テーブルを囲む人々を見渡し、一人一人と目を合わせました。「お前は大切な相談役だ。ここにいるほかの者たちと同じくらい大切な。そうだな、この中で私が毒を盛らなかった者を挙げたほうが早いかもしれないな。私は、私をたった一人の主人として仕え、私だけに忠誠を誓っている者には毒を盛らなかった。ヘルセス国王がモロウウィンドを治める姿を見たいと思っている者には、毒を盛らなかった。帝都や、神殿や、テルヴァニ家、レドラン家、インドリル家、ドレス家のスパイでない者には、毒を盛らなかった」 邪悪な支配者様、王子は、「ドレス家」と言ったとき、まっすぐに私のほうを見たのです。間違いありません。私は、考えを顔に出さないよう訓練をしていますので、その時も私の顔から考えは読み取れなかったはずです。しかし、闇の支配者さま、内心では今までにした全ての密会やあなた様とドレス家への暗号文での通信などが瞬間的に思い出されていたのです。いったいそのうちの何が王子に知られてしまったというのでしょう? もしそれらを知らなかったとすれば、王子はどうしてそのような疑いを抱くにいたったのでしょうか? 私の鼓動は、ますます早くなりました。恐怖のためでしょうか、それとも毒がまわってきたのでしょうか? 私は何も喋れませんでした。何かを言えば、確実に冷静な無表情に似つかわしくない声が出てしまうと思ったのです。 「私に忠実で、私の敵を痛めつけたいと望んでいる者たちは、私が確実に敵に毒を飲ませられたかどうか不安に思うだろう。私の敵は、というより、敵たちと言ったほうがいいな、彼らは今夜出されたものを飲んだり食べたりするふりをしていただけかもしれないからな。それはそうだろう。だが、どんなにうまく食べるふりだけをしていても、その馬鹿げたジェスチャーゲームをうまくやりとおすには、空のグラスに口をつけたり、何もないフォークやスプーンを口に運んだりはしなければなるまい。いいか、食べ物には毒は入っていなかったんだ。カップや食器につけてあったんだよ。食べるふりをしていた者たちも、食べたものも同じように毒を口にしたはずだし、食べるふりをしていた者は、その上にあの素晴らしいローストを味わい損ねたというわけだな」 私の顔に玉のような汗が噴き出し、それを隠すために王子から顔を背けました。他の相談役たちはみな、椅子に腰掛けたまま固まっていました。女侯爵コルガーの顔は青白く、ケマ・イネッブなどは明らかに震えていました。アララトは怒りに眉をしかめ、バージェスは銅像のように固まったまま一点をみつめていました。 その時になると、私には王子の相談役全員がスパイのみで構成されているとしか思えませんでした。このテーブルの周りに、王子に忠実な者などいるのでしょうか? そして、もし私がスパイではなかったとしたら、私はヘルセスに疑われていないと信じきれたでしょうか? 相談役の者はみな、王子の被害妄想の深刻さと彼の野心に対する執念深さを誰よりもよく知っています。もしも、私がドレス家のスパイではなかったとして、それで自分は安全だと思えたでしょうか? 忠実な者が、疑わしきは罰せよ式の誤った判断で毒を盛られることもあり得るではありませんか? 他の者たちも、忠臣もスパイもみな、同じ事を考えていたはずです。 私の頭の中で様々な考えがめまぐるしく浮かんでは消えしていたその時、王子が全員に向かって言った言葉が耳に入りました。「この毒のまわりは早い。もし今から1分以内に解毒剤を飲まなければ、テーブルの周りに死者が出始めるだろう」 私は、自分が毒を口にしたのかどうか確信しかねていました。胃が痛んでいましたが、それは贅沢な料理を目の前にしながら何一つ食べなかったためかもしれませんでした。鼓動は胸全体を揺り動かすようで、トラマの根のようなしびれる苦味を唇に感じていました。恐怖のためでしょうか、それとも今度こそ毒のせいでしょうか? 「私を裏切っていた者たちにとっては、これが最期に聞く言葉になるだろうな」ヘルセス王子は、あのいまいましい笑みをうかべたまま、椅子の上で身をよじっている相談役たちを見回しました。「解毒剤を飲んで、生き延びてはどうだ」 彼の言うことを信じるべきなのでしょうか? 私の知るヘルセス王子という人物について思い返してみました。彼はスパイであることを自白した物を殺すでしょうか、それともそのスパイを利用し、送り込んだもののところへ送り返して復讐をさせるでしょうか? 王子の冷酷な性格からすると、どちらの可能性もありえそうに思えました。明らかに、この晩餐の芝居がかった演出は、出席者に恐怖を植え付けることを目的としているようでした。私が晩餐会に出席し、毒を盛られて殺され、あの世でご先祖様に会ったらいったいどう思われることでしょう? もし私が言われるままに解毒剤を飲み、あなた様とドレス家のスパイであることを自白して、裁判もなく処刑されたとしたらどうでしょう? それに、白状しますが、私は死んだ後あなた様が私にいったい何をするのかをも恐れていました。 私はめまいを起こし、自分の考えで頭がいっぱいだったので、バージェスが椅子から飛び上がったのにも気付きませんでした。私が気付いたときには、彼は器を両手に抱え、中の液体をがぶがぶと飲んでいるところでした。周囲には、いつの間にかたくさんの衛兵が待機していました。 「バージェス」と、ヘルセス王子が、笑みを浮かべたままで言いました。「お前はよくゴーストゲートに出入りしていたようだな。レッドラン家の手の者か?」 「知らなかったのか?」バージェスは自嘲気味に笑い出しました。「何家の者でもないさ。あんたの義理の妹、ウェイレスト女王に情報を送っていたんだよ。ずっと女王に雇われてたんだ。おお、アカトシュ、王子は俺がどっかのいまいましいダークエルフのスパイだと思って毒を盛ったのか?」 「半分当たりだ」と、王子は答えました。「私はお前が誰のスパイか知らなかっただけじゃなく、お前がスパイかどうかも知らなかったよ。それに、私がお前に毒を盛ったというのも間違いだ。お前は自分で、その毒入りのスープを飲んだんだからな」 バージェスの死に様については、邪悪な支配者様、ここには書かないことにします。あなた様は何年も何年も、長い長い時を生きて、様々なものを見てこられたでしょう。しかし、絶対にあんな死に様は見たくも、話を聞きたくもないことと思います。私自身、彼の断末魔の苦しみ様を記憶から消してしまいたいと思っているのです。 相談役の晩餐会は、その後すぐ解散になりました。私がスパイであることを、ヘルセス王子が知っていたのか、または疑っていたのかどうか、私にはわかりません。あの、昨夜の晩餐に集まった者の中で、私と同じようにもう少しでバージェスより先に解毒剤に手を伸ばすところだった者が、何人ぐらいいるのかもわかりません。ただわかっているのは、もし王子が今のところ私を疑っていなかったとしても、そのうち疑うようになるだろうということです。私は、王子が昔ウェイレストで身に付けたこういった遊戯を、これからも勝ち抜いてゆく自信がありません。どうか、邪悪なる闇の支配者ダウネイン様、お願いします、あなた様のお力で、忠実な部下である私をこの任務からはずすよう、ドレス家にかけあっていただきたいのです。 **** 出版者注: 当然のことであるが、この手紙の差出人の名は、原本から複製されたどの印刷物にも一切記載されていません。 紫1 随筆・ルポルタージュ
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東方地域についての客観的考察 また、数百年にわたるこの二州の占領を正当とする理由は倫理的にも法的にも疑わしいのだが、このさいそのことには目をつぶるとして、モロウウィンドとブラック・マーシュから経済的または軍事的にどのような利点が得られるのか考えてみたい。 実際のところ、これらの州において帝都より独占権を与えられている一握りの者たちは、財産や資源を好きなだけ利用して富を得ている。が、帝都全体としては潤っているのだろうか。帝都のばかでかい官僚機構の維持費は税収だけでは到底まかなえない。しかも、これらの属州の辺境にある帝都軍要塞の建設や管理にかかる費用は、東方から軍事的な脅威が迫っているという確証があってこそ有益に使われていると言えるものだが、そうした証拠はひとつもない。モロウウィンドやブラック・マーシュの軍隊が帝都の安全を脅かしたことはないのだ。もちろん、シロディールそのものが襲われたことなどあるはずもない。 実際のところ、帝都の安全を脅かすおびやかす最大の驚異はぐうたらな軍隊そのものにある。彼らの胃袋は納税者の負担によって満たされている。こうした軍隊の将校は身近な敵がいるわけでも、反対されるわけでもないため、西方に色気をみせることもありうる。彼らには忠実なる古参兵の軍隊もついているし、ひとり勝ち状態の商人の後援により財源も潤っている。皇位継承の先行きが不透明な中、彼らは思いもよらぬ政治的要因となってくる。 モロウウィンドとブラック・マーシュの占領が理想を追い求めた結果であったなら、帝都の重圧にもいくらかは耐えられたかもしれない。だが、帝都のなんと恥さらしなことか。モロウウィンドで暗黙のうちに実践されている奴隷制度を見て見ぬ振りをし、ダークエルフの領主から哀れなカジートとアルゴニアンの奴隷を救うために軍を出動させるのではなく、無防備な奴隷施設を防衛するために予算をさいているのだ。モロウウィンドの黒檀鉱山では、帝都の勅許のもとで私腹を肥やした者たちが奴隷を酷使して、賄賂と汚職によって保証された法外な利益を収穫しているのである。 東方地域に平和と啓蒙をもたらすというわが国の命題のなんと傲慢なことか。実施にしているのは、これまで驚異ですらあったことのない土地に派兵し、モロウウィンドとブラック・マーシュで実践されていた蔑むべき忌まわしい制度をいいように利用しただけのことにすぎない。その結果、皇室にへつらうものたちだけが豊かになっていった。 客観的に考察してみると、わが国の東方占領政策は道徳的には堕落し、軍事的には無防備で、経済的には破綻しており、導かれる結論はひとつしかない。東方部隊を解散し、帝都の官僚や豪商を東方から引き揚げさせ、このいにしえの土地に暮らす民の手に自由を与えることだ。いやしくも西方文化の失われつつある理想や財産を守ろうとするなら、そうすることでしか道は開けないのではなかろうか。 白1 社会
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ペリナルの歌 第2巻:その訪れ [編者注:1巻から6巻に収められた文章は、帝都図書館所蔵のいわゆるレマン文書から採られたものである。この文書は、第二紀初期に無名の研究者によって集められたもので、古代文書の断章の写しからなる。古代文書のそもそもの出所は不明であり、いくつかの断章は同時期に書かれた(同じ文書からの断章という可能性もある)ものと考えられている。しかし、6つの断章の成立時期に関する学術的な合意は得られておらず、ここでもその断定は避ける。] (そして)ペリフは天を仰ぎ、神々の使いに語りかけた。天はエルフが地上を支配し始めたから、その慈悲を失っているように見えた。ペリフは、命に限りある人間であった。彼女の同胞である人間の、弱さの中の強さや謙虚は神々の深く愛するところであり、人間が、最後にある死を知りながら命を燃やす姿は神々の憐れみを誘っていた(向こう見ずに魂を燃やす者たちが竜の一族に好かれるのと同じ理由である)。そして、彼女は神々の使いに語りかけた:「そして、私はこの思いに名前をつけ、それを自由と呼びました。失われし者シェザールの、別の名前だと思います…… (あなたは)彼が失われたとき、最初の雨を降らせました。(そして)私は今、彼に起こったのと同じことが邪な支配者たちに起こるよう願います。彼らを打ち破り、彼らのした残虐な仕打ちの代償を支払わせ、トーパルの地へ追いやり(たいのです)。あなたの息子、あの強く、荒ぶる、猛牛の角と翼を持つあのモーリアウスをもう一度地上につかわし、私たちの怒りを晴らさせてください」…… (そしてその時)カイネはペリフに新しい印を与えた。それはエルフの血で赤く染まったダイヤモンドで、その面は(なくなり、形を変え)一人の男となってペリフの縛めを取り払った。その男は「星の騎士」(を意味する)ペリナルと名乗り、(そして彼は)(未来の)武具を身に付けていた。そして彼はシロドの密林へと分け入り、そこにいるものを殺した。モーリアウスはペリナルの出現に喜び、地上に降りてペリナルに寄り添った。(それからペリナルは)ペリフの率いる反乱軍の陣地に戻り、自分の剣とメイスに刺さったエルフのはらわた、首、羽、アイレイドーンの印である魔玉などを見せた。血で固まったそれらを掲げたペリナルは言った「エルフの東の長だったものだが、こうなっては名乗ることもできまい」と。 歴史・伝記 赤1
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五つの戒律 教義1:決して夜母に無礼を働かないこと。行った場合、シシスの憤怒をもたらす。 教義2:決して闇の一党を裏切らないこと、そして秘密を漏らさないこと。それらを行った場合、シシスの憤怒をもたらす。 教義3:決して闇の一党の高官からの命令に背いたり、遂行を拒んだりしないこと。それらを行った場合、シシスの憤怒をもたらす。 教義4:決して闇の兄弟や闇の姉妹の所持品を盗まないこと。行った場合、シシスの憤怒をもたらす。 教義5:決して闇の兄弟や闇の姉妹を殺さないこと。行った場合、シシスの憤怒をもたらす。 社会 緑3 闇の一党関連
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「坊や、そこへ座りなさい。これからお話をしてあげるからね。この物語は長年語り継がれてきたお話だよ」 「どんなお話なの? お爺ちゃん。英雄と野獣が出てくるお話?」 祖父は孫をじっと見つめた。彼は良い子供に育っていた。すぐにこの物語の価値、つまり幾世代にも語り継がれてきた教訓を理解するであろう。 「よく聞きなさい。この話はお前のその心にしっかりと刻むのだよ」 ─ 昔々、スコールがまだ新入りだったころ、この地は平和だった。太陽が照り、作物はよく育ち、全創造主の与えた平和の中で人々は幸せに暮らしていた。しかし、スコールの人々は現状に満足して、全創造主から与えられたこの大地とその恵みを当然のものとみなすようになった。彼らは大事なことを忘れ、思い出そうともしなかった。それは魔王が常に彼らを見張っていること、つまり全創造主と彼に選ばれた人民を苦しめるのを楽しみにしているということを。そしてついに魔王がスコールの前に降り立つ時がきた。 魔王はさまざまな姿をしていた。ある時は不浄の獣、またある時は不治の疫病であった。四季の終わる頃には、魔王は世界を貪り食う者、サーターグとして知られることになるが、この時代においては強欲者と呼ばれていた。 強欲者は(我々がこう呼ぶのは彼の真の名前を呼んでしまうと破滅を引き起こすからである)長い年月にわたってスコールの中に紛れ、生活をしていた。おそらくもともとは普通の人間だった男の心に、魔王が入りこんで強欲者と化してしまい、このように語り継がれているのだろう。 とうとうスコールの力が失われる時が来た。戦士は武器を失い、シャーマンは獣たちを呼び寄せる呪術を奪われた。年寄りたちは全創造主の機嫌を損ねてしまったのだと言い、全創造主は永遠に彼らのもとを去ったのだと言う者もいた。そこへ強欲者が現れた。 「お前たちスコールは日々肥え、怠惰な暮らしを送っておる。そんなお前たちから、全創造主からの贈り物を盗んだ。まず海を盗んだ。お前たちはもう二度と喉の渇きを癒せないであろう。次に陸・森・太陽を盗んだ。作物は枯れ、死ぬだろう。そして獣を盗んだ。飢えがこの地を襲うであろう。そして風を盗んだ。お前たちがこの先全創造主の魂を感じることはないであろう」 「もしお前たちの誰かがこの贈り物を取り返しに来なければ、スコールはいつまでも惨めで絶望的な暮らしを送り続けるであろう。ゆえに私は強欲者、これが私の真の本性だ」 強欲者はそう言って消え去った。 スコールの人々は、来る日も来る日も話し合いに明け暮れた。この中の誰かが贈り物を取り返しに行かなければならない。しかし、誰が取り返しに行くかを決められなかった。 「私は行けない」と、長老は言った。「私はスコールを導き、決まり事が何なのかを人々に伝えなければならない」 「私も行けない」と、戦士は言った。「私にはスコールを守る義務がある。強欲者がまた現れれば、私の剣が必要になるだろう」 「私も行けない」と、シャーマンは言った。「人々には私の英知が必要だ。私は前兆を読み解き、知恵を授ける必要がある」 その時アエヴァーと呼ばれる男が声をあげた。彼は腕っぷしの強い、俊足の持ち主であったが、この時はまだスコールの戦士ではなかった。 「僕が行きます」とアエヴァーが言うと、スコールは皆笑った。 「最後まで聞いてください」と彼は続けた。「僕はまだ戦士ではないから、僕の剣はまだ必要とされていない。前兆を読む力もないので、人々は僕に助言を求めに来ない。そして、まだ若いので政治にかかわるほど賢明ではない。僕が強欲者から奪われた全創造主の贈り物を取り返してきます。もしできなかったとしても、僕を失って悲しむ人はいない」 皆は少し考えた結果、アエヴァーを行かせることにした。翌朝、アエヴァーは贈り物を取り返すため村をあとにした。 アエヴァーはまず最初に、水の贈り物を取り返しに行こうと水の岩へ向かった。そこで初めて全創造主がアエヴァーに語りかけた。 「西の海へ行きなさい。泳ぎ人のあとをついて命の水へ向かうのです」 そこでアエヴァーが海岸を歩いていると、全創造主が遣わした泳ぎ人、ブラック・ホーカーに出会った。泳ぎ人は海へ飛び込み、ものすごい速さでどんどんと遠くに行ってしまった。しかし、アエヴァーは強い体の持ち主で、懸命に泳いだ。泳ぎ人について横穴のあいた所まで深く潜り、肺が焼けそうになりながら、体がくたくたになりながらも泳いだ。ようやく海中に空気の溜まり場を見つけ、そしてその暗がりの中に命の水を見つけた。残る力をふりしぼり、命の水を持って、海岸へと泳ぎ戻った。 水の岩へ戻ると、全創造主が語りかけてきた。「あなたはスコールに水の贈り物を取り戻しました。海が再び現れ、皆の喉の渇きを癒すでしょう」 アエヴァーは次に大地の岩へと向かった。そこでまたも全創造主が語りかけてきた。 「秘密の音楽の洞窟へと行き、大地の歌を聴くのです」 そこで今度は北東にある秘密の音楽の洞窟へと向かった。そこは大きな洞窟で、岩が天上から垂れ下がり、地面から伸びていた。耳を澄ますとかすかに大地の歌が聞こえてくる。そこでアエヴァーはメイスを取り出し、リズムに合わせて岩を叩いた。すると音は次第に大きくなり洞窟とアエヴァーの心を満たした。そしてアエヴァーは大地の岩へと戻っていった。 「スコールは再び大地の贈り物を手に入れました」と、全創造主は言った。「大地は再び肥え、そこから新たなる生命が宿るでしょう」 太陽が激しく照りつけ、それをさえぎる木陰も冷たい風もないので、アエヴァーは疲れていた。それでもなおアエヴァーは獣の岩へ赴いた。そこでまた全創造主が語りかけた。 「善の獣を探し出し、その獣を苦しみから解き放つのです」 アエヴァーがアイジンフィアの森を何時間もかけて通り抜けていると、丘の向こうから熊の叫び声が聞こえてきた。丘に登ると、首に雪エルフの矢が刺さって叫び声をあげている熊を見つけた。アエヴァーは周りに雪エルフが潜んでいないかどうか(異論を唱える者もいるが、敵は雪エルフであった)を見渡し、誰もいないことを確認してからその獣に近づいていった。アエヴァーは熊をなだめながらゆっくりと近づき、「善の獣よ、僕は君に危害を加えたりはしない。全創造主から君の苦しみを癒すように言われ、ここへやってきた」と言った。 この言葉を聞いた熊は暴れるのをやめ、頭をアエヴァーの足元に横たえた。アエヴァーは矢をぐっとつかんで首から引き抜いた。自分が知るちょっとした自然魔法を使ってその傷口を治したが、これでアエヴァーは最後の力を使い果たしてしまった。熊の傷が治るとアエヴァーは眠りへと落ちた。 目が覚めると、熊はアエヴァーの前に立ちはだかるようにしていた。周りにはいくつもの雪エルフの死体が転がっていた。善の獣は一晩中、アエヴァーを守っていたのであった。アエヴァーが熊と一緒に獣の岩へ戻ると全創造主が語りかけてきた。 「獣の贈り物を無事取り戻しましたね。善の獣は再びスコールの空腹を満たし、寒さには着物を与え、必要なときには彼らが守ります」 アエヴァーの体力も回復したので、彼は樹の岩へと向かった。ここで善の獣とは別れた。彼が到着すると万物の父が語りかけてきた。 「始まりの樹々が枯れてしまったので急いで植え替えねばなりません。始まりの樹々の種を探し出してください」 アエヴァーは再びハースタングの森へと向かい、始まりの樹々の種を探したが、一向に見つからない。そこでアエヴァーは生ける樹の精霊たちに問いかけた。精霊たちが言うには、ある雪エルフ(雪エルフは魔王の手下だ)が種を持ち去り、森の奥深くに隠してしまって、誰も見つけられないのだ。 アエヴァーは森の奥深くへと進み、下位の樹の精霊たちに囲まれる邪の雪エルフの姿を見つけた。精霊たちは雪エルフの奴隷状態にあり、種の魔法を使い、秘密の名前を言わされていた。アエヴァーはそのような力には対抗できないと分かっていたので、こっそりと種を盗み取らなければならなかった。 アエヴァーは自分の小袋に手を伸ばし、火打石を取り出した。葉を集め、邪の雪エルフと魔法にかけられた精霊たちの周りの空き地に小さな火をおこし始めた。スコールはみな、精霊たちが火を恐れていることを知っていた。火は精霊が仕える樹を燃やしかねないからだ。すぐに、精霊の本能は取り戻され、彼らは急いで火を消そうと駆けていった。混乱の巻き起こる中、アエヴァーはそっと雪エルフの背後に回り、種の入った小袋を盗み取り、邪の雪エルフが気付く前に逃げ去った。 アエヴァーは樹の岩に戻り、地面に種をまいた。すると、全創造主が話しかけてきた。 「樹の贈り物も取り戻しましたね。樹々や草花が再び生え、人々に滋養と日陰を与えることでしょう」 依然として太陽は暑く照りつけ、涼しい風が吹かなかったのでアエヴァーはひどく疲れていたが、木陰で少しの間休むことができた。アエヴァーの足は棒のようになり、目もひどく重たかったが、それでも旅を続けた。次は太陽の岩へと向かった。そこでまた全創造主が語りかけてきた。 「太陽の穏やかな日差しが盗まれてしまいました。今や激しく照りつけるばかりです。太陽を日食の館から解き放つのです」 そこでアエヴァーは西へと歩き、凍り付いた陸地を越え、日食の館へと到着した。中に漂う空気は厚く重く、自分の腕から先はまったく見えない状況であった。自分の足音が響く中、壁を頼りに歩くも、この館の中には肉を引き裂き、骨までしゃぶりつくす不浄の獣が潜んでいることを知っていた。何時間かそうして歩くと、広間の向こうに微かな光を見つけた。 そこには一枚板のような氷の後ろからまばゆい光が差し込んでいて、アエヴァーは目を開けてはいられなかった。視力を失ってしまうのではないかと思うほどであった。燃えさかる不浄の獣の目を引き抜き、力の限り氷の板に向かって投げ捨てた。氷に小さなヒビが走ったかと思うと、次の瞬間には大きなヒビが入った。ヒビの間からゆっくりと光がもれだし、全体へと広がり氷を粉々に砕いた。轟音とともに壁は崩れ落ち、光がアエヴァーと廊下を包み込んだ。視力を失い、体が燃えさかる不浄の獣の叫びが聞こえた。アエヴァーは光に導かれるように広間を飛び出し、外の地面に倒れ込んだ。 アエヴァーが立ち上がったときには太陽が再び彼を暖かく包み込んだ。アエヴァーはそのことに感謝した。アエヴァーが太陽の岩に戻ると、全創造主が語りかけた。 「太陽の贈り物を再び手に入れましたね。太陽は人々を温め、光を与えます」 アエヴァーが取り戻すべき贈り物は残すはただ1つ。風の贈り物である。アエヴァーは島のはるか西の海岸の、風の岩へと向かった。全創造主はアエヴァーに最後の課題を言い渡した。 「強欲者を見つけ、その呪縛から風を解き放ちなさい」 アエヴァーは強欲者を探して陸地をさまよい歩いた。樹の中も探してみたが強欲者の姿はなかった。海のそばにも、洞窟の奥にも姿は見えず、獣たちも森で強欲者の姿は見てないと答えた。しかし、ついにアエヴァーは一軒のねじれた家を発見し、そこに強欲者がいるようだと分かった。 「誰だ?」と強欲者は叫んだ。「私の家を訪れる者は誰だ?」 「僕はスコールのアエヴァーだ」と、アエヴァーは答えた。「僕は戦士でもなければ、シャーマンでも長老でもない。もし僕が村へ生きて帰れなくても誰も悲しまない。だがしかし僕は海、大地、樹、獣そして太陽を取り戻した。あと風も取り戻すことができればスコールの人々に全創造主の魂が再び宿るであろう」 そうしてアエヴァーは強欲者の袋をぐっとつかんで引き裂いた。風が勢いよく飛び出し、強欲者をも巻き上げ、島から遠く離れた場所へと吹き飛ばした。アエヴァーはすっと風を吸い込み、喜んだ。風の岩のところへ戻ったアエヴァーに全創造主は最後にこう語りかけた。 「よくやりとげました、アエヴァー。スコールでもっとも若きものよ。私の贈り物すべてを取り返しましたね。強欲者は今やはるか遠くへと飛ばされ、二度と村の生活を脅かすことはないでしょう。実に喜ばしいことです。さあ、お行きなさい。己の本能に従い生きるのです」 アエヴァーはスコールへと帰っていった。 ─ 「それからどうなったの? お爺ちゃん」 「どういう意味だ? アエヴァーは無事家に帰っていったのだよ」 「村に帰ったあとの話だよ。アエヴァーはその後戦士になったの? それともシャーマン? スコールの街を戦いへと導いたの?」 「それはどうだろうね。ここでこの物語はおしまいさ」と祖父は答えた。 「こんな終わり方なんてないよ! 物語らしくない」 老人は笑って、椅子から立ち上がった。 「そうかい?」 小説・物語 茶2
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錬金術の基礎 アリャンドン・マスイエリ 著 若い魔術師は見落としがちだが、錬金術は歴史のある学問で、極めれば人生が変わるほどやりがいもある。錬金術の公式で使われる材料の知識を深めるのは難しく、危険をともなうが、あきらめずに真摯に研究を続けていけば、最後には大きく報われる学問と言えよう。 成功を勝ち取るためにも、それを目指すためにも、まずもって初級の錬金術師は錬金術の基本原理を理解しなければならない。この世の道具のほとんどは自然界の有機物から作られており、マジカの特性を含んだ根源的な成分に分解することができる。腕のいい錬金術師になると、材料のさまざまな特性を利用できるようになる。数種類の材料の源を混ぜ合わせることで薬ができあがる。もちろん、誰が飲んでもよい。(伝説によると、真に偉大な錬金術師はひとつの材料から薬を調合できたという。それだけの離れ業を身につけるには並大抵の努力では足りないだろう) 錬金術師の調合する薬は材料によって多彩な効能が生まれる。そのなかには毒となるようなものさえある。たいていのレシピからは、正と負の効果を併せ持つ薬が生成される。どのレシピが最高の結果をもたらすのか、それを見つけるのは錬金術師にかかっていると言えよう。(負の効果だけを持つ薬を生成すれば毒として利用できることも覚えておくといいだろう。本書ではこの実践を推奨しないため、これ以上の言及は避けておく) ウォートクラフト ウォートクラフトは、実際のところ、素人向けの錬金術である。材料を食べるには歯ですりつぶさなければならないが、その結果、もっとも純粋な源だけが解放され、食べた人に瞬間的な効果をもたらすのだ。ウォートクラフトでは、きちんとした道具で作られる薬のような効果は期待できない。 錬金術のツール 乳鉢と乳棒は錬金術に欠かすことのできないツールである。これがないと、薬として使えるように材料をうまく下準備することができない。新進の錬金術師はこれらのツールを肌身離さず持ち歩き、早いうちにその扱いに慣れておくべきだろう。材料をすりつぶすことは薬を作るうえで欠かせない基本手順となる。きちんと製粉された紅花草の花弁は粉末状になり、朝鮮人参のような材料を混ぜ合わせることで解毒剤ができあがる(これは錬金術師がもっとも早いうちに学んで身につけるレシピのひとつだろう。調合に失敗したときにお世話になることの多い薬だからである)。 腕のいい錬金術師なら、薬の質を高めるためのツールも扱えるようになる。レトルトを使うと混合物を純化することができ、薬の正の効果を高める。混合物を蒸留器で洗浄すると、不純物が取り除かれ、負の効果を減らすことができる。燃炉を使えば、混合物の不純物を焼却することができ、薬の効能がアップする。これらの道具は薬の生成に必ずしも必要なわけではないが、使わない手はないだろう。 材料の組み合わせ 薬の質は材料に依存する。同等の効果を持つ材料だけで薬を調合するのが無難だろう。ひとつの薬に対して4種類までの材料なら、問題なく使用できるようである。 錬金術師は材料の下ごしらえの腕前が上がっていくと、新たな特性を見つけられるようになり、それらを薬に利用することができる。錬金術師としての幅が広がるわけだから嬉しい瞬間には違いないが、完成時にどのような効果を持った薬になるのかしっかりと把握しておくべきであろう。すでに確立されたレシピの結果が変わる可能性があるうえ、すべてがプラスに働くわけではないからである。 白1 魔法学・薬学